| ■ 私と日本料理 |
津山市の商店街を北に抜けた新地通りの左手に、モダンな入口のビルが目に付く。1Fの少々奥まった暖簾をくぐり木製のドアを開けると、カウンター越しに元気な掛け声が店内に響き渡る。中西店主は、にこやかに出迎えながら、鋭い眼差しでオーダーに合わせ手際よく品々を並べてゆく。この道に入ってはや20年、学校を卒業して初めて味わう修行の辛さも、幼少の頃から始めた「剣道」で培った精神力とバイタリティで、その苦行を乗り越えて今日の姿がある。
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高校在学中、将来の職業は「体育の教師」と心に馳せ目指していたが、ある日何気なく作った食べ物に「おまえの味はうまいぞ」と友達に褒められ、ふと自分の手先の器用さを生かした「料理人」への道を選択した。ただ、この世界は思った以上に厳しく、日々先輩からの罵声をあびながら、帰宅後の寮生活においても常に「上下関係」が離れることはなかった。洗い物で手のひらが一皮むけ、物も持てない痛みでも容赦なく次から次へと言い渡される雑用をこなさないとこの道は前に進めなかった。 |
「煮方」と言って、料理に味付けが出来るまでに10年は掛かるという日本料理の奥深さを、日々積み重ねた経験と自身の味付けのバランスと表現力で作り上げていく。地元岡山に帰って、自分の店を開けた日のことを今でも鮮明に憶えている。開店までの準備作業に追われる日々、やっとこぎつけたその瞬間、喜びと疲れが交錯し、かすれ声が店内にこだました。次第に汗と涙が頬を伝い「俺はついにやったぞ」と心の中で叫んだ。「今日はとてもおいしいものを頂戴しました」この一言が何物にも勝る一番の喜びを感じる時である。この道を選んで本当によかったという充実感とお客様への感謝の気持ちが、
これからも日々精進で腕を磨き、さらなる料理への追求に意欲を掻き立てる。
ぜひ一度、織部の「季節の日本料理」を召し上がりにおいで下さい。
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| ■ 織部(おりべ)の由来 |
その昔「豊臣秀吉」が愛好した茶器が、千利休の高弟「古田織部」の創案により美濃(岐阜県)で作られた「織部焼き」です。
一見地味ながら目を引き寄せる独特の色合いが、料理の品をさらに引き立たせます。日本料理は味付けだけではなく、表現力も大事なポイント、見た目の「美しさ」も味わっていただけます。
この「織部焼き」に出会った感動が忘れられず、自分のお店の屋号にはこれしかないと決めていました。
日本料理に舌鼓ながら、古来の伝統工芸に興ずるのも楽しいものです。今宵、ゆっくりとくつろぎの一時をお過ごしいただければ幸いです。 |
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| ■ お店のご案内 |
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●味見三昧 織 部
TEL 0868−22−1373
津山市田町12−3 ピクシービル1F
■営業時間
●11:00〜14:00(予約のみ、会席)
●17:00〜23:00(オーダーストップ22:30)
●定休日:日曜日(但し、10名様以上でのご予約
の場合、営業いたします) |
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| ■ 編集後記 |
最近は外食産業もバラエティに富み、日本いながら世界の料理を身近に手軽に食べれる世の中です。その昔海外に出張中、その国の料理にもいい加減うんざりした頃、日本料理店で食べた些細な定食が大層おいしかった事を思い出しました。やはり長年染み付いた味覚は、落ち着きと安らぎを与えてくれます。新し物好きな日本人はあれこれと口にしますが、落ち着くところは自国の伝統料理なのではないでしょうか。きっと中西店主は、日本料理の素晴らしさを誰よりも痛感し、愛しておられる方だと思われます。これからも日本料理の奥深さと味わいを楽しませて下さい。
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